ハイスキル人材は「採る」から「活用する」へ。成長を加速させる人材戦略とは?
人材戦略
日本企業が直面する人材課題
昨今、日本企業の課題として「DXが進まない」「新しい事業がなかなか立ち上がらない」といったイノベーションの停滞が挙げられます。こうした新しい試みが失敗している理由は、資金や技術力といった表面的な要因だけでなく、実は必要な「人材の質と量」が決定的に不足していることが最大の問題です。
もはや従来の人材戦略は限界を迎えています。新卒一括採用やメンバーシップ型の中途採用で今日のビジネスのスピード感に対応することは難しく、日本企業は人材課題をどう解決するかを抜本的に考え直す必要があります。
日本企業が陥りがちな人材戦略の課題
なぜ多くの日本企業は人材面での課題に悩み、変革プロジェクトに苦労しているのでしょうか?新規事業や変革がうまくいかない理由を紐解くと、2つの大きな課題が見えてきます。
① ゴール・要件が不明確で、必要人材も精査されていない
よくあるパターンが「理想系は描けているが、それをどう実現するか、そのためにどんな人材が必要かといった具体的な実現手段まで落とし込めていない」ことです。
新規事業やDXプロジェクト、・リブランディングなどの部門横断的な大型プロジェクトを進める際、要件やゴールが曖昧なまま、メンバーがアサインされるというケースはよくあります。ゴールだけでなく、それぞれの立ち位置や課された役割が明確に定義されていないことで、それぞれのメンバーがプロジェクトにどう関与すればよいのかわからないまま、アサインされたタスクだけをこなす、といった事態が起こります。主体的にメンバーが関わらないことで、建設的な議論が行われず目的を見失い、プロジェクト自体が途中で頓挫。また、一応最後まで実施したとしても、期待していた成果が得られないケースなども多発しています。
②「内製主義」では、ビジネスのスピードに追いつけない
「社内リソースだけで何とかしよう」という考え方も、新規プロジェクトの成功を妨げる大きな要因です。既存人材のリスキリングやアップスキリングは重要ですが、外部で開催される一般的な座学の研修を受講しても、社内で指導・伴走してくれる人材がいなければ、市場の変化や技術革新に対応できるスピーディな習得は困難です。
必要な知見とリソースが足りない状態で失敗する、あるいは失敗を恐れて何も新しいことに挑戦できない―こうした状況から脱却するには、これまでとは抜本的に異なる考え方を取り入れる必要があります。
海外企業がなぜスピーディに変化に対応できるのか?
日本企業が人材獲得に苦戦し、事業の停滞に課題を感じる一方で、海外の先進企業はなぜこれほど変化に強く、スピーディに事業を展開できるのでしょうか?
ハイスキル人材の入社まで、日本企業は人材発見から採用決定まで一般的に最低3ヶ月、退職決定から後任決定、引き継ぎで2-3ヶ月を要し、、合計平均6ヶ月ほどかかります。一方、例えばアメリカでは、海外企業ではそもそも人材が流動的であるため候補者もより多くおり、人材が見つかってから引き継ぎを2週間で終わらせて、入社というサイクルが一般的です。わずか2週間での入社が可能です。
そのヒントとして、海外企業の日本とは異なる「人材に対する基本的な考え方」と、それを支える「実践的な仕組み」をご紹介します。
①職務内容をベースに組織をつくる「ジョブ型」を採用
海外企業では「その人は何ができるのか?」という人をベースにしたメンバーシップ型ではなく、「仕事」と「人」を明確に切り分けるジョブ型思考を採用しています。
※ジョブ型の絵を流用
特定の職務(ジョブ)に対し、業務内容、求められるスキル、責任範囲、報酬を厳密に定義し、それに合致する人材を「ポスト」に基づいて採用します。ビジネスの変化により必要な職務機能が変化すれば、それに応じて人材が採用されることで、いち早く組織の形を変えることができるのです。
②フリーランスを「パートナー」として活用する
海外企業では社外の人材を「活用」する考え方が一般化しています。単に社内で足りていない労働力を補うだけでなく、フリーランスなどの外部の専門家を戦略的に活用し、社内にはない専門的な知見を迅速に組織に取り込むことで、組織全体のスピーディな変化・成長を可能にしています。
彼らは外部のプロフェッショナルを単なる業務の委託先ではなく、「自社の事業を推進していくためのパートナー」として位置づけ、組織設計を行っています。特定分野に特化した高い専門性と豊富な経験を持つハイスキルなフリーランスは、プロジェクト開始後すぐに即戦力となり、社内での育成期間やコストを削減できるため、企業側も重要な戦力として見なしています。
日本企業の次の一手。新たな人材ポートフォリオ戦略
では、日本企業が組織づくりを俊敏に行うには、どのように変化していけばよいのでしょう?職務内容が明確に定義され、その職務を遂行するために必要なスキルや経験を持つ人材を採用する「ジョブ型」雇用はIT、金融などスペシャリストが必要な業界では導入されつつありますが、まだ主流ではありません。
海外のスタイルをそのまま模倣するのではなく、日本の企業文化や市場の特性を考慮しながら、徐々に組織を再構築することが企業の未来を左右する鍵となります。組織のアジリティを高めていくために歩むべきステップをご紹介します。
ステップ1:ジョブ型要素を「戦略的に」導入する
ジョブ型の考え方を「戦略的に」導入していきましょう。
例えば、経営企画部門で中期経営計画を作成する際、これまでは社内で積み上げられてきた手法で対応できましたが、今ではそのやり方が通用しなくなっています。異なる市場で新規事業の企画を作り上げるには、より幅広い視野での考慮が必要で、市場分析や事業企画の専門家でないと対応しきれません。
またIR担当であれば、海外株主の比率増加、プライム市場での英語対応必須化により、より専門性を求められ、従来の人材像とは異なる「機能」を求められるようになってきています。
このように、従来と異なる専門性を求められるようになってきた領域であれば、これまでと同様の「機能」では対応できません。新しいニーズに対応していくためには、必要とされる職務内容をまず定義し、それができる人材を配置するジョブ型への移行を検討することが必要です。
ステップ2:「ハイブリッド型組織」で安定性と俊敏性を両立する
正社員による組織をベースにしつつ、「ハイブリッド型組織」を目指して外部人材の活用を増やしていきましょう。どんな職務機能が正社員であるべきか、外部人材でもよいかを分類しつつ、両者が連携して実務を行っていく体制づくりを目指します。
社員と外部人材のハイブリッドで組織が構成されることで、組織の安定性と俊敏性を両立し、変化に強い企業体質を築くことが可能になります。
ステップ3:フリーランス活用を「価値最大化」の視点で行う
フリーランスを必要なシーンに応じてうまく活用するには、企業側が「フリーランスを"使いこなす"」ための実践的なスキルを習得することも必要です。
単に労働力不足を補うのではなく、彼らの知見やノウハウを積極的に社内に取り入れ、組織全体の力を高めようという視点で活用することがおすすめです。社員間と同様にチャットツールなどを利用して密なコミュニケーションを取る、クラウドサービスを積極的に活用して情報共有を促進する、など業務のやり方そのものも見直すことが重要です。
彼らの専門性を最大限に引き出し、社内メンバーへのナレッジやスキルの移管を計画的に行っていけば、スムーズなプロジェクト遂行だけでなく、伴走による社内人材のスキルアップにも繋げることができます。
ステップ4:最適なフリーランスを見つけるためプロを活用
肝心なのは、必要な「機能」を有したフリーランスをどう見つけるかです。多くのフリーランスの中から、貴社の事業フェーズや求める専門性に合致するハイスキルな人材を自力で見つけ出すのは非常に困難です。
そこで、業務機能の切り分けと該当人材を探し出すのは、外部のプロフェッショナル人材活用サービスを活用することをお勧めします。
外部人材活用の具体事例
ここ数年で、多くの大企業も積極的に外部人材活用を検討・実行するようになってきました。ソレクティブで実際にご支援した事例を簡単にご紹介し、どのように外部人材を活用しているかをお示しします。
最近ご相談のあったお客様の課題は以下の通りです:
中期経営計画の見直しにあたって、社内に業界外の視点を持って市場分析を行える人材がいない
新規事業を仕込みたいが、正社員採用のスピード感では間に合わない
グローバル投資家にアピールできるIR(投資家向け広報)体制をつくりたい
社内にノウハウが蓄積されないので、外部コンサル会社に依頼したくない
こうした課題に対し、ソレクティブでは以下のようにご支援を行っています。自社でできることは自社で回しつつ、できないことをスポット的にハイスキル人材の手を借りて、短期間で結果を出すというケースでのご利用が多く見られます。
中期経営計画策定
ある企業の経営企画室では、新しい視点で中期経営計画を策定するために、外部のプロ人材をチームでアサイン。経営陣への提案経験を有した事業戦略、財務分析のスペシャリストとともに、経営陣以外の社員も巻き込みつつ短期間で中経をまとめあげ、経営陣との合意形成まで漕ぎ着けました。
IR戦略の抜本的な見直し
IRの抜本的な強化を目指し、資本市場のトレンドや投資家の重視するポイントを理解しつつ、メッセージを戦略的に見直せるIRの専門家をアサイン。短期間で質の高いIR戦略を立案・実行し、投資家からの信頼獲得に貢献しました。
新規事業のスピード加速
新規事業の立ち上げにおいては、新規事業チームにBizDev(事業開発)経験者を週2日だけアサイン。外部パートナーとの提携交渉を強力に推進しました。フルタイム採用では難しかった即戦力性の高い人材を、必要な時間だけ確保することで、事業化のスピードを格段に向上させています。
このように外部人材を柔軟に活用することで、知見のない難易度の高い業務にいち早く取り組むことができる柔軟な体制へと変化することができるのです。
まとめ:柔軟な人材戦略が企業の未来を拓く
この2年でAI活用は爆発的に普及し、自社が取り巻くビジネス環境も激変し、先が読めない世の中になってきました。もはや従来の人材戦略だけでは、この変化のスピードに追いつくことは困難です。企業が事業や組織を前に進めるための選択肢として、「必要な機能だけ、必要なタイミング」で外部人材の活用を検討する企業は、今後ますます増えてくるものと予想されます。
競合他社が新しい人材戦略を取り入れ始める中で、従来のやり方に固執し続けることは、市場での競争力を失うリスクと隣り合わせです。変化に対応できる企業とそうでない企業の差は、今後さらに拡大していくことでしょう。
ソレクティブでは、業務変革や新規サービス開発などの難易度の高いプロジェクトなど、自社にはノウハウがなくてどういう人材が必要なのかわからないといった状態からでも、ご相談を承っています。貴社が取り組もうとしている背景や意図を丁寧に聞き取り、一緒に考え、必要な人材像を一緒に組み上げていきます。人材戦略の転換点にある今だからこそ、新しい可能性を模索してみませんか?
ぜひ、ご興味があれば、お気軽にご相談ください。
